2011 9月 の日記


9月1日

世界陸上を見ている。
色んな色の肌のひとが、色んな色のユニフォーム着ていて、綺麗なねぇ、と思った。

高揚を踊りで示す選手や
一着でゴールする喜びに、ゴール前から踊り出して失速する海外の選手を見て
日本人だったら、どんな踊り好きのひとでも、踊るのはゴールしてからだろうな、とも思った。
そういう風に、みんなの普通が様々なのは楽しいし、綺麗なね。

ひょっとして、これは、正しい感想ではなかろうか。

正しいまま続けるが
綺麗だと感じるのは、身体が美しいせいもある。
目が死んでるやつが出ていないせいでもある。
目の死んでるやつは、アタイみたいにテレビを見ているのだろう。
そして選手が投げた後に叫ぶ競技で、画面に念力を送っているのだろう。
飛べ・・・と。
だるんだるんで。

9月3日

アトリエに蝸牛が居着くので、アンソニーと名付け、半同棲している。
率直に言うと、そこまで好きでもないが
魂の奥底に眠る博愛主義者の一面を呼び起こし
多いときで四匹いるアンソニーを、眺め、煙たがり、
時に上から説教をしつつ、愛で、店賃を請求している。

踏み倒しを許すつもりはないが、踏み倒されそうな予感はむんむんとする。彼らにはお足が無いから。

今、台風が来ていて
アンソニーは風速何メートルまで耐えられるのか見ものだナァ、と思いながら
見たり、見て見ぬ振りを決め込んだり、
たまに不愉快を丸出しにした、あたかも害虫を見るかのような一瞥をくれている昼間から。

9月4日

白雪姫のお話を知っている?
絵も思い浮かぶ?
想ってみて。
白雪姫と
小人が七人
小さなお家と
深い森と
王子さまと
魔女のようなお妃さま。

世界で二番目にキレイなお妃さまなのに
ちっとも美人に描かれはしない。
不思議ね。

そこで母上が一言。
『 人口が少ないんじゃない? 』

解決しました。

9月5日

出勤時刻が迫り、涙の元栓を探す。
見つからないので、仕方がないので、泣きながらお化粧を施した。
合理的にしたい。
元栓はどこだ。

9月6日

前髪をあげて
腫れた瞼に当てて
長くしてるとキンキンするから
聴診器の当たるみたいな速度で
「 おお、そりゃ大変だ 」 と言ってくれるお医者さんの圧力で
触診しよう。
唇でするから、目を閉じて。

溶けて、柔らかくなった表面のビニールを開いたら、甘い水が飛んだ。
窓を開けたら秋になるんだぜ、と風が吹いた。

9月7日

夜泣きに熱中しすぎて
片目がアイプチを施した様に腫れている。
いや、良いよ良いよ、深夜にフットボールの試合を見ていたって感じよ?
つってニヤニヤ働いたら
方言が分からず不足が生じ
自分がアゥエー試合で負けた、って感じになったよ。
自分に生卵をぶつけておくよ。

9月8日

深夜二時半。
姉上から
寝返りを利用して電話をかけ
母上の携帯ごしに寝息を聞かせるというマニアックなサービスが行われ
我が家に旋律が走った。
次回からは、はっきりと、平和な寝言を言うようにして欲しい。
「 ああ、おいしい・・・カレーを発明したひと・・・ノーベル賞だ 」
とか。

9月9日

暗い顔をして珈琲を飲みながら高校生クイズを眺めて居ると
偶々歩いてきた父上。
漢文の読解力を試す題において問題文を読まず
『 玄奘三蔵 』 『 砂漠 』 『 遺骸 』 というキーワードを聞いたのみで
正解を導き出したので
「 どないなったんねん 」
と思いつつ
勘の鋭さを賞賛すれば
『 実は高校生の頃、問題文になっている大唐西域記を読んだことがあるだけなんだ。
勿論、日本語訳でだよ? 』
と宣う。
いや、どないなったんねん。

クイズに正解する恐るべき高校生達がどのような道を歩むのか。
国民の関心の向くところではあるが
クイズに正解しない娘の、どないなったんねんに
「 父はオタクなんだ 」と
優しく説明してくれる妖精になったりもするらしい。

9月11日

百円ショップの折り紙の、すごい青のすごい匂いが立ち込めるすごいざらついた空に、月が燦然と輝いた。
わたしは泣かないようにし続けた。
「 今日は11日? 」って訊かれて
「 そうですね 」って笑顔で答えた。
テレビの中の人は泣いていた。

9月12日

職業は僧侶。
詩のような、数行からなる美しい文章の形で神託を受け
それをヒントに難事件を解決する、という
僧侶探偵の出てくる夢を見たのだが
その神託はセロテープに書かれていて
朝、目覚めると
僧侶の腕に貼り付いている
という設定であった。

剥がしたら、皮脂がついていた。
見たこともないが、読みやすいフォントで書いてあったのが救いであり
現実は往々にして地味ではある。

9月13日

アイスクリームの歌を歌って
バニラビーンズの入っている粘膜を掬って食べた。
とろり
わたしは泣いたし
からだのこどもは生まれた。

9月14日

訂正1:アンソニーは、多いときで6匹。

訂正2:ものを言わないから、その分だけは好きかも。

9月15日

誰かのふくよかな乳房をさわる夢を見た。
彼女にとって快も不快もないらしく、おそるおそるさわる指は飲み込まれた。
ひたすらに柔らかく、白く、ぬるかった。

9月16日

鏡に向かい、頭蓋骨がゆがんで見える頭の持ち方を発見する。

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