Category: 天国ってきっと禁煙でしょ?


1月4日

自宅並びに血縁者の前では禁煙、が暗黙のルールなので
年始、祖父母の家や自宅で過ごし、五臓六腑も心もクリーン!!
であるはずが輪をかけて真っ黒。
吸いたくて苛々しているのではない。
単に苛々している。世界を呪っている。
不機嫌さが顔に出る。
平静、顔に出す前にセーブできるのは、喫煙で体内の毒を薄めているからではないかと思う。

母上に掃除を頼まれ
自称「食客」の居候、穀潰しの身分ともなれば
2つ返事で溌剌と引き受けるのが道理だが、渋々やっている今。

いけない。
いけない娘だ。
気だるく、横転したままの掃除機を引きずり回してあたりを吸引していると
のたうつ掃除機が死にかけたゴキブリの様子に似ていて
見ていると次第に愉快になり
体内の毒が薄まってきたのを感じた。
これは良い。
煙草でなくとも毒が滅するのか。
活用しよう。

しかし、感情を顔に出してはいけない社交場
パーティーや飲み会、打ち合わせに掃除機を持ち込み横倒しにして稼動させ
「ゴキブリに似ているでしょう」
等と言ってニヤニヤしているのもいかがなものか。
喫煙とどっちが迷惑か。

そのくらいは空気を読めるのが仇だ。
わたしは煙草を止められない。

5月27日

禁煙しているときは、そのことに錯乱しても良いと他所から聞いたのでするなり。
一月半くらい、煙草を止している。
すごく怒ってしまう。
頭からケムリが出ている。
何故、喫煙が犯罪のように扱われるのか、貴様らとて煙草税の恩恵を受けた筈、高慢だわ、と。

自分を野放しにしておくと
腹を立てても仕方のないこと
深く考えてしまうと人間関係に支障をきたすので放置している事象
社会経済のこと、自分が植物をどうも上手く育てられないこと
最近やけに湿疹が出る理由、不正出血する訳なんか考えて
胃腸がキュンキュンとときめいてしまうので
怒りのやり場が具体的では無い禁煙を憎むことで
無意識に気を紛らわせているのだと思う。
必要悪の仲間でさ。

なににせよお姫さまのご機嫌が悪いのには変わりないので
こういう過去を参考に、引きずり回した。

掃除機のボケ!カス!ヒョウタン!ラッパ!お前と付き合いがある身が呪わしいわ!と思った。
思いながら少し掃除をした。
煙草をむちゃくちゃにしながら
理不尽なことに理不尽に腹を立てたい気持ち。
なんか、もう、ここ、禁煙日記にしよか。

5月31日

煙草に代わる嗜好品の研究チームに入り
イグノーベル賞を受賞できるような
無駄かつ完璧な嗜好品を作りたい。
そう考える自分の前向きさを
これからも褒めて伸ばしていきたいと思う。

(禁煙しているひとは、褒めるとやる気を出すらしいので
自分で褒めることにする)

6月1日

変わらず禁煙に馴れずに困っている。
草の葉を紙でオシャレに巻いたダサいアレに着火せずに
描きかけの絵を「単に眺めようとする」のは
意識するとやり方が分からなくなる類のものだ。
呼吸とか、ぼーっとするとか、寝るとか食べるとかそういうことの仲間で。

禁煙の先輩風を吹かせて一言申しますと
そういう時、口に何か当てたいからといって
音の出る楽器を当てるのは止した方が賢明です。
汚れ役みたいなチャレンジは止しましょう。
そこには、想像以上に肺機能が低下している事実があるのみです。
壁の中にいるお友達としか目が合わない生活を送っているひとはなおさらに。
なんとなく、そう思いました。
ほんと、なんとなく思っただけですけどね。

8月4日

悲しくて息が詰まる、とか
悲しみと無関係に吸えるから、とか
付きまとう何かと共存するために、とか
明日が来ることをネガティブに思わなかった一瞬、とか
病めるときも健やかなるときも
煙草が吸いたいのです。

8月17日

四ヶ月ほどニコチン吸引を止している間に
もう、わたし煙草を吸うわ!
という高ぶりは幾度かありました。
街の中で煙草のおいしく呑めるスポットを知らないという事情、
コンビニの前でヤケクソ気味に吸う煙草も、それはそれで乙なものだけれど、
今は落ち着いて吸いたいのよ、
泣きたいから独りがいいのよ、
という気持ち、
アトリエの灰皿は捨ててしまった、
携帯灰皿なんてみみっちいのは嫌、
適当な灰皿はもっと嫌、
といったこだわり、
なんかに妨げられているうちに
結局邪魔くさくなり、
呪言を唱えながら目につくものを端から本の角で殴ったりして
場を凌いで居たのです。

本日、そのようなこだわりは一切捨てますので吸いますのでよろしくお願いします。お先に失礼します。
と机の中をひっくり返して携帯灰皿を探し、家を飛び出した。
ほてから
コンビニエンスストアに行って。
ごちゃごちゃっ、とね。
神のみぞ知るです。
いや、人生って、色々あるよね。
ああ、喫煙がしたい。
恋よりも喫煙がしたい。
いや、それはちょっと嘘かも。
それはちょっと、神のみぞ知る。

8月25日

そろそろ、博士号でも取得しようかと考えている。
『 アルコールって、摂る必要がない成分だから 』
というテーマについて推敲し、ぬかりなし。とほくそ笑んで居ると
母上が遠くから
「 ニコチンはもっと必要がないのよ 」
と呟いた。
ははん、ニコチンを吸収していることがバレているな、これは、と
隠れ煙草の高校生、みたいな動揺を味わいながら
すました顔をした。
しかし1日3本くらいですよ?
しかも屋外で。
気のつく母親の凄さ。
スーパー。

されど、煙草を挟んでいると、単語や言葉が、降ってきて
いや「 降ってきて 」ではないな、降っているんじゃあないな、なんつうの?なんつうの?あの、ほら、これ、この感じ
と更に吸いながら探す。
考え事を発見するというか
書き留めておく言葉を思う。
つかえていることは、こうだよ、の
なんだろう、ほら、違う違う、分かんないからもっと吸おう。
というか何?
そんなもの全部正当化で良いご身分です。

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