2015年2月7日

怒りたくはなかったので
腹を立てつつも
怒りを商品として販売する、怒りデパートがあるならば、
この怒りは何円だろうか、と考えたら
3個パックで998円だった。
サラダデリの感じで、パック詰めで。
1怒りなので、約333円分。
例えば
のり弁のことでいつまでも怒っている女。
いっぱい汗が出るという触れ込みの入浴剤を使用し、発汗量が不満と憤る女。
疲れていたあの子にコーヒーを奢ったのにお礼も言わない、と根に持つ女。
コンビニで買ったマスクを、ビニール袋と一緒に捨ててしまって、
一枚使っただけなのにと、愚痴をこぼしながら、
皆へといただいたお菓子をカバンに詰め込む女。
この怒りはそのくらいの金額である。
腹は立てずに寝かせておいて、白いハンカチでもかけてやろう。
南無333。

2015年2月4日

ずっと一緒だよ、なんて恋人同士のたわごとセンテンスには、
嘘になる可能性よりも、イキオイとか情熱が重視されるみたいだし、
カップルという共同体には、思いやりと譲り合いが必要だし。
結婚式で「誓いますか?」って聞かれて、
「誓ったことの結果を出そうという意思はあります」
って言うひとはいなくて、言い切りが大事だし。
結果の先払いなのよね?

そこまで分かっていても、イエスって言えなかったんだよ。
「よっぱらいのおじさんの形態模写は、もうしないで欲しい」
と懇願されても。
前述の、恋愛に必要なイキオイと思いやりで、
「もうしません!」って言えればよかったのに、
わたしはどうしても
「よっぱらいのオジサンが歩いてこないかしら」
若しくは
「よっぱらいのオジサンなんて歩いてこないわよ」
ってコントみたいに誘惑されたら、
オジサンになって、げへへと登場したい!っていう気持ちが打ち消せなくて
一生やらないなんて軽はずみに言えなくて、本当に困ったのよ。
しかも困ったことに、
わたしは素面でよっぱらいのおじさんのモノマネをしていて、訓戒を受けたの。
もう本当に困っちゃう。

2015年1月31日

「西は、西はどっちなん?」と問いかける声が聞こえた。
朝の8時、横浜市A区の公団住宅を縫って走る緑道で、
ジャージ姿の男性が、連れの男性に話しかけている。
それぞれ、ボストンバッグとリュックサックを持って、道に立っている。
「ほんで、西はどっちなん?こっち?」
初めてこの駅に来たのだろうか。
地図を覗き込んで、道の先を指差すが、その方角は惜しくも南南西であった。
関西弁で会話をしている彼らは、どうして西を探しているのか。
西に帰るつもりか。徒歩で。
地図を見なくとも西を知る方法はいくつかあるけど、
「こういう住宅の中にいたら、洗濯物が干せるベランダが付いている方が、
だいたい南ですよ」
って教えてあげればよかったかな。
曇りの日でも分かるし。

2015年1月26日

「もう、使おうよ。」
そう言ってわたしは開封を促した。
連れ立って誕生日の贈り物を探しに出て、気にいるものが見つかって、
リボンをかけてもらって、その場で手渡した。
来月の記念日当日まで、待つ必要はない。
「買ってあるんだから、1日でも長く使えたほうが嬉しいし、おトクだよ!」
いいなって思ったんだから、早く使いたくない?
勢い込んで言ったとき、
「あのね、ついでに、奥さんも、1日でも長く使ったほうがおトクだよ!」
という言葉が喉元まで出かかっていて、あわてて飲み込んだのを彼は知らない。
ごくり。
それは単なるギャグで、女性をモノ扱いする気も、
モノ扱いされる気もないのだが、
お客様、わたしは取り置き商品なんですよね?と時々念を押したくなる。

2015年1月24日

眠る前の布団の中や、電車に乗っている時間、
3DS版ドラゴンクエスト7で遊び、少しずつストーリーを進めている。
目下、過去の世界を訪れ、
滅亡の危機にある国々を救済行脚しているところ。
英雄メルビンを「オジサン」と改名したり、ぱふぱふに騙されたり、
愉快な道中を過ごしている主人公一行です。
電車内でプレイ中、降車駅に到着する10秒前に、
ダンジョン内でモンスターと遭遇。
セーブポイントに到達できないまま、3DSをスリープ状態にしました。

次に画面を開いたのは、15時間後。
つまり、モンスターと睨み合ったままの15時間。
主人公とモンスターが打ち解けているかも。
淡い期待を抱きながら画面を開くも、
当然のように彼らは睨み合っていました。
言ってやりました。
「人見知りか、お互いに!」
「自己解決できんかね!」
ドラゴンクエスト7〜そして和解へ〜

2015年1月23日

買い物は楽しい。
買い物をしながら、ああでもないこうでもないと悩み、値
定めることは、異性を選ぶ悩みと似ている。
予算と希望があって、
宝くじでも当たらないと買えないものもある。
「なんかちょっと違うかも。いいんだけど、違うかも」
呟き、気にいる機能やデザインを探して、
首を傾げて頬に手を当て、
お財布と相談して、悩む。
そこで選ぶもので、この先の人生が変わるかのように。真剣に。

思い巡らせていたのは、
Kが即決するからだ。
買い物に出かけると、金額の大小に関わらず、
1軒目に入ったお店で、最初に手に取ったものを買う。
見ているこちらが不安になって、折角だしもう少し見たらと声をかけても、
「ええねん。これが気に入ったんや。」と宣い、
手に取り、フタを開け閉めし、撫で、愛でる。
「ええなぁ」と呟く。
そんな彼に「すこしは迷いなさいよ!」と心のどこかで突っ込んできた。常に。

Kは付き合う女性を選ぶ時も、即決なのだろうなと思う。鑑みる。
それならば、
「他も見たら?」だの
「もっと気にいるものがあるかも」だのと、
わたしが彼を勧誘するのはおかしな話なのかもしれない。
一目惚れして買ったものが扱いにくくて、
難儀する彼を見かけることも少なくないが、
それはそれで楽しんでいるのだろう。
彼のレジャーなのだろう。
じゃじゃ馬馴らしも人生の娯楽か。

悩みすぎて、欲しいのかすらも分からなり、
え何も買わずに帰宅することの多かったわたしは
彼の買い物について行くのが好きだ。
彼はショップバッグを手にお店を出た瞬間、それまで保っていた
「どれでもいいけど、これにします」とでも言いたげな無表情を崩し、
笑みをこぼす。

2015年1月22日

椿の花が落ちるみたいに、しめやかに。
絵の具のフタの溝が甘くなって締らないみたいに、だらしなく。
ドレッシングのフタが外れるような、無機質さで。
おチンチンの先っぽが、取れる夢を見ました。
外れて、落下して、乾いた音を立てて目の前に転がったよ。
カラカラと。
手も触れず、当たり前のように落下を見ていました。

2015年1月18日

消臭剤フェアーだな、と思った。

西暦2015年、つまり今年は15=イチゴ年。
1000年に1度の苺年として各地でフェアーが開催されているらしい。
そんな話をアルバイトの休憩中に教えてもらった。
だからわたしは「なるほどですね」と言えばよかったのに。
「ふーん。じゃあ、2175年は1000年に一度のイナゴ年ですね。
食糧危機で昆虫食が盛り上がっているかもしれませんし。
フェアーとかやるんでしょうね。へっ。」
と言ってしまった。
もちろん、嫌がられた。
会話を間違えて、場を盛り下げた。

なるべく存在感なく過ごして、居たのか居ないのかわからぬまま
バイトを終えて家に帰りたいのに。
こじつけミレニアムの排気に、反射で反抗してしまった。
波風を立てたくない。
でも「なるほどですね」って言えなかった。
落ち込んで帰宅して、そんな悩みを母に打ち上げると、
何か言いたければ「来年はなんの年でしょうね」でいいんじゃない、
というナイスな助言。

確かに。それなら、みんなで考えられるし。
納得しながら
「西暦2016年はニオイ無。つまり消臭剤フェアーだな。
2010年のニオイゼロ年以来か。
ていうか、2010年代は10年のニオイ年間だな。」
と考えていた。
これだから友達が少ないんだな、と感じながら。

2014年12月25日

人で溢れかえる新宿伊勢丹の地下のお菓子屋さんで、
買ったものと違うケーキの入った箱を受け取り、持ち帰った。
それに気がついたのが帰宅後。
お店に電話をかけると
すでに取り違えを把握しておられ、陳謝してくれた後、
「今日ですから…クリスマスケーキですよね。
是非ご自宅までお届けしたいんですが、いかがですか?」
と言って、寒風吹きすさぶ街を抜け、
我が家までケーキを持ってきてくれたのだ。
客の気持ちに寄り添うサービスに感動し、
「すごいですね」と思わず口にすると
「お恥ずかしい限りです」と少し微笑んでお辞儀を返された。
お金持ちになったら、全てを伊勢丹で買いたい、と思った。
虫ピンから口紅、ゴールドバー、哺乳瓶、七福神の置物、自分の仏壇、月への旅券、まで全て。
ケーキはすこぶる美味しく、クリスマスの夜はてっぺんに星をつけてピカピカと輝いていた。
思わず [伊勢丹 すごさ] でインターネット検索をかけてみると、
関連キーワードに現れたのは
[ビートルズ すごさ]
[上原 すごさ]
[武豊 すごさ]
[ピカソ すごさ]
[イチロー すごさ]
[天皇 すごさ]
であった。
すごい。

2014年12月17日

雨戸を開けると隣家の屋根に霜が降りて美しい。
「涼しい」と口にするように心がけている。
気温の低さを「寒い」とは言わない。
加えて「涼しい」と言った後に
「この気温だと、鍋が美味しいよね!」とか
「湯呑みを握った時にほっこりするね!」とか付け加える。
「茹で上がったほうれん草の粗熱がすぐ取れる!」とか。

人が遊ぶハレの日に、カーテンを閉めて体育座り、
晴天の日も折りたたみ傘を脇差しの様に携え、
遭難しそうだからと山にも海にも出かけず、
落とすことを前提で財布を選ぶ。
そんな自分は、人が震える日にこそ明るく振る舞うのが筋ではないかと考えたの。
冷えた唇を上下で合わせてついばみながら、
「涼しい!」「室温でチョコが溶けなくて良いなあ!」と嘯いた。

2014年12月16日

あのさ。
片想いの時は、相手の分身とずっと一緒にいられる気がするね。
心の中に住んでる、小さな君と色んなものを見て、想像で一緒に居られて、それで満足なんだけど。
君のことが勝手なイメージじゃなくなったときに、
君の分身は側にいなくなっていて、
君は君だけになりました。
だから、君の不在をありありと感じられて、会いたくなるんだよ。

そんなこと、考えながら
[噛めば噛むほどチョコレートの味わいが染み出すプレッツェル]という触れ込みのチョコレート菓子を食べていたのです。
確かに、噛めば味は染み出すけれど、
噛めば噛むほど口の中から無くなるプレッツェル、という表現の方が正確だと思いました。

2014年12月9日

Kが起床してリビングにやってきたのは前夜の予告通り午前11時であった。
わたしは仁王立ちで言った。
「洗濯をする時、貴方はいつも眠っている。
それ故、一向にまくらカバーが洗えない。
一緒に住んでいれば仕事に出た隙に寝具を洗い放題。
まくらカバーを洗いたいから、わたしと結婚して頂戴。」
Kは複雑な表情を浮かべて
「まくらカバーのことだけで?」
と言って唸った。
何か粗相があっただろうか。
しかしこう言っておいて何だが、寝ているから洗えないなんて気を使うのは今だけで、
遠慮の欠片もなくズカズカと寝室に入るのだろう。
「起きなくていいからまくらカバーを外させて。今だけこのタオル巻いて寝て。
窓の結露が酷いから起きたらそのタオルで拭いてね。まったく遅くまでゲームしてからに。」
などパーパー言う自分が目に見えるようだ。
しかしこれは黙っておこう。
どうせいずれバレるんだから黙っておいても同じだろう。
隠蔽はしていないから罪にはなるめえ。

2014年12月5日

ブルスケッタ
ミルファンティ
ミートローフのパイ包み
鯛とホタテのカルパッチョ
りんごのワイン煮

ATMが指紋を認証してくれず、
三台の機械の間を反復横飛び、
カバンに入っていたおしぼりとちり紙で手と読み取り機をごしごし拭いて試し続けたところ、
九回目にして読み込まれたのだが、これは冷え性が原因なのか?
切断された指とでも間違えられているのか?
違う違う。
繋がってるよ。
こんなに繋がっているよ。
指は繋がってて、切ってるのは身銭だよ。
間違っちゃ困るよ、おまえさん。

2014年12月2日

「誰よりも貴方が好き」「誰よりも貴方の幸せを願ってる」なんて簡単に言うのは、ばかばかしいと思うんだよ。
そこで言いたいのは「わたしの気持ちが尊い」ってことだけみたい。
かわいそ。
早く帰って心穏やかにみかんでもお食べなさい。
それで帰り道、リーゼントに
「誰よりもってことは、相手のご両親よりも深い気持ちなのか?どういう立場だコラァ!ご両親なめてんのかコラァ!」
とでも言われればいいのに。

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